2006年06月14日

暗黙の価値<子どもへのまなざし考>

佐々木正美著

「子どもへのまなざし」


前エントリに書いた経緯から、読んでます。
正直、苦行ってカンジです。
でもガンバッて読んでます。
以下、とりあえず今のところの感想です。
育児本嫌いなので、やっぱりな、ってカンジの感想です。



冒頭よりパラパラと数ページを読んでみました。
目次を見て「エリクソン」についての記述があるようなので、その他すっ飛ばしでそこだけも読んでみました。
読みながら頭をよぎったことが沢山ありました。

まず、放送大学で学んだ「暗黙の価値」ということです。
「発達的視点」の特徴の一つとして
[方向性を持つ前進的変化ととらえる暗黙の価値(よさ)を含意]
ということが挙げられます。
つまり、「発達」という概念には「何かが出来るようなる」というような意味合いが含まれている、ということです。
放送大学の「生涯発達心理学」のテキストにはこう記述されています。

『第2に発達的視点は、時系列的に起こる人間の変化を、より完全な状態、あるいは環境によりよく適応した状態へという方向での前進的変化としてとらえようとするものであった。
…中略…
もちろん現在では、人間がもつ多様な側面に関して、どのような価値を認めるかに多様性がある。しかし、何らかの意味で方向性のある人間の変化に注目することは続いていて、発達という概念には暗黙の価値(よさ)が絡んでいることが多い。』


子どもを育てるということは、子どもの成長・発達に否応なしに付き合うことです。
這えば立て、立てば歩けの親心
って言いますけど、親なんてそんなものですし、親じゃなくても子どもに関わる大人ってぇのはみんなそんなものだと思います。

ウチの長男1号アンチャンが小学校に入学した時、当時の校長先生が新入生の保護者会でこんなことを言ってました。
「入学前に保護者の方たちに『どんなお子さんになって欲しいですか?』と聞くと、大抵の方たちは「優しい子」とか「思い遣りのある子」とおっしゃいます。
ところが、入学してしばらく経ってみると、「勉強しなさい、宿題しなさい」「忘れ物をしちゃいけません」「アノ子とは遊んじゃダメ」と・・・
「思い遣り」とか「優しい」なんて言っていたのはどこかに行っちゃったのかなって思います。」

親はもちろん、大人は子どもの発達とか成長に対してとっても貪欲なんですよね。
<子どものまなざし>を読んでいると、この著者のそういった貪欲さを強烈に感じます。
思い遣り・自律心・信頼・がまん(感情のコントロール)・・・
「あーすればこーなる」だから「こーしなさい」ということが沢山書いてあります。
「こーしなさい」とは書いてないかもしれませんが、「こーしてはいけないのです」という書き方がされている個所はありますね。
具体的に「こーしなさい・こーしてはいけません」とは書いてなくても、読んだ人間が「こんなことしちゃいけないんだ・こんなふうにすればいいんだ」と思うような書き方であることは間違いありません。
それは読む側の責任ってことになるのでしょうが、こういう類の本を読む人の多くは恐らく「育児の正解」を求めている人だろうと想像ができますから、確信犯だと言っても良いんじゃないかなって思います。

拾い読みした限りでは、著者が書いていることはそれぞれ、確かにごもっともだ、って思います。
でも、この本を読んでいるとあまりにも
思い遣りを持たせるにはこーしなくちゃいけない
人を信頼させるにはあーしなくちゃいけない
と思わせるような圧迫感を感じます。
それ以前に、思い遣りを持たなくちゃいけない・感情をコントロールしなくちゃいけない・人を信頼できなくちゃいけない・・・そう言われているような圧迫感を感じます。
そりゃ確かに思い遣りや信頼や、そういうものは必要ですが、そんなに完璧なそれらを目指して育児をするのって、どーなんでしょうね?
乳幼児期の子育てに失敗したら、その失敗は取り返しがつかないぞ、みたいな、それに近いことを本の冒頭で書いていらっしゃいます。
「育児不安をもつおかあさん」という内容の記述もありますが、それを煽ってどーすんの、って思いました。
親として、子として、人間として、まるで完全無欠の人間を作ろうとしているかのようだと私は感じました。

「ですから、乳幼児の理想的な育児があるとしたら、理想というのは現実には不可能なことではありますが、…(以下略)」
著者は文中でこう書いています。
その通りだと思います。
読んだ限り、この本に書かれていることは全編あくまでも理想であり、それは現実には不可能なことであり、理想に近付こうとすることは良いことだけど、それは「こうしなくてはいけない」ということではない、あくまでも理想なのだと私は思います。
それを大前提として読むべき本だと思います。
だって、書き方は決して「私が言っていることは理想論ですから」という書き方ではないのですから。
読む側が注意して読む必要があるってもんでしょう。

エリクソンに関しての記述あたりなんぞは、「危険だ!」とさえ思いました。
だって、あまりに理想の人間像を念頭に起き過ぎていて、「周囲の人間と共に生きて行く」ということを考えていないように思えるんですよね。。。
世の中の人間が全員、著者が念頭に置いているような理想的な人間だったらいいんですけどね、別に。
でも現実はそーじゃない。。。

その辺りは次のエントリで書こうと思います。

一つ書いておきますが、この著者はとっても優しい人なんだろうって思います。
私のようにひねくれた人間は「うげぇ〜」って思いますけど、素直な方たちだったら多分救われることが多いんだろうな、って思います。
ただ、暗黙の価値が根強過ぎるというか、なんというか・・・
この人は優しすぎるのかもしれませんね、きっと。
でもやっぱり私にとっては「うげぇ〜」ですがわーい(嬉しい顔)あせあせ(飛び散る汗)
posted by チャマ at 16:42| Comment(1) | TrackBack(0) | 教育、とか? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ニアーユ、ヌ、ケ。」
Posted by フセフオ、キ at 2006年06月14日 16:52
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/19263381

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。